事業計画・収支計画

フランチャイズの事業計画書の書き方|本部の収支モデルを自分の数字へ直す

公式情報をもとに編集/2026年10月15日更新/出典の確認日 2026年10月15日

フランチャイズの事業計画書は、本部の収益モデルを写して完成するものではありません。出店地域、営業時間、人員、客数、客単価、支払条件を自分の計画へ置き換え、契約書・料金表・見積書と数字を一致させます。創業計画書の項目を埋める順番と、売上の根拠、下振れ時の資金まで確認する手順を整理します。

結論:本部資料は根拠の一つ。提出する数字は自分で説明できる形にする

事業計画書には、本部の標準モデルと、自分が実際に運営する条件を分けて記録します。日本フランチャイズチェーン協会(JFA)は、本部提示の事業計画を鵜呑みにせず、自らも計画を作ることが望ましいと案内しています。

公正取引委員会は、本部が予想売上げ・予想収益を示す場合、類似環境の既存店実績など根拠ある事実と合理的な算定方法に基づき、根拠を加盟希望者へ示す必要があるとしています。既存店平均などのモデル収益は、出店予定店舗の予想そのものではないことも理解できるようにする必要があります。

そこで、①本部から根拠資料を受け取る、②自分の商圏・物件・人員へ置き換える、③見積書と契約条件を反映する、④下振れ時の現金残高を確認する、の順で作ります。融資申込に使う場合は、申込先が指定する最新書式と必要書類を確認してください。

書き始める前に、5組の資料をそろえる

先に資料を集めると、空欄を推測で埋めずに済みます。未回答は0円・条件なしとせず、質問項目として残してください。

計画書の前提になる5組
資料確認する内容
本部資料収益モデル、対象店舗数、地域・面積・営業時間、集計期間、平均・中央値・範囲
契約資料契約書案、開示書面、料金表、ロイヤリティ、広告・システム費、更新・解約条件
費用資料加盟金、物件、工事、設備、仕入れ、採用、許認可の見積書と支払日
地域・運営資料候補地の商圏、競合、賃料、営業時間、必要人員、採用単価、販売経路
自分の資金資料自己資金、既存借入、生活費、借入希望額、返済開始月、予備資金

資料の日付と版も控えます。契約書の料金表が更新されれば、事業計画の支出も更新が必要です。

事業概要は「なぜ自分が、この地域で運営できるか」まで書く

日本政策金融公庫の創業計画書では、創業の動機、経営者の略歴、商品・サービス、取引先・取引関係、必要資金と調達方法、事業の見通しなどを整理します。JFAも、事業概要と資金・収支計画の二部構成を例示しています。

項目フランチャイズで追加する内容
動機・経験業界経験、店長・採用・営業の経験と、本部研修で補う部分
顧客・商品誰に何をいくらで提供するか。本部共通の商品と地域での販売方法
立地・商圏候補地を選ぶ理由、競合、交通、商圏人口、近隣への直営・加盟店出店条件
人員・役割本人の稼働、責任者、正社員・パートの人数、採用時期、必要資格
取引条件指定仕入れ、支払日、売上入金日、返品・廃棄、ロイヤリティの計算対象
支援と制約研修、販促、運営指導の範囲と、価格・営業時間・仕入先を変えられる範囲

「有名な本部だから」「サポートがあるから」だけでは、自分が運営できる理由になりません。経験と不足する能力を分け、本部支援の内容・回数・費用を契約資料と一致させます。

売上は、客数・単価・営業日数まで分解する

月商だけを置くと、根拠を検証できません。店舗なら「1日客数×客単価×営業日数」、会員制なら「期首会員+新規−退会」と月額単価、訪問型なら「担当者数×1人あたり対応件数×単価」まで分解します。

本部モデルから少なくとも次の7項目を自分の条件へ置き換えてください。

  1. 候補地と商圏・競合
  2. 店舗面積、席数、設備数または対応可能件数
  3. 営業時間と営業日数
  4. 開業月から安定月までの客数・契約数
  5. 値引き・キャンセルを反映した客単価
  6. 必要人員と採用できる時期
  7. 売上計上から実際の入金までの日数

たとえば既存店平均が月商300万円でも、成熟店中心の数字か、開業初年度を含むか、同じ地域・面積・営業時間かで使い方は変わります。対象店舗、対象期間、平均・中央値・範囲、閉店店舗を含むかを本部へ確認し、根拠資料名と回答日を残します。

費用は、契約書と見積書から月別に置く

費用は「初期費用」と「毎月の経費」だけでなく、実際に支払う月へ置きます。加盟金、保証金、物件取得、工事・設備、研修、開業前家賃、採用、初回仕入れに加え、開業後の人件費、家賃、ロイヤリティ、広告分担金、システム・決済、保険、税・社会保険の備えを確認します。

ロイヤリティは名称ではなく算式を使います。売上歩合、粗利分配、定額、最低額つきでは、売上が変わったときの費用が違います。ロイヤリティの計算方法で契約条件を月額へ直し、開業資金・運転資金の表で支払月と最低現金残高を確認してください。

一致を確認 計画書の設備費は見積書の税込総額と、毎月の本部費用は料金表・契約書の算式と一致させます。根拠資料のない概算は、概算であることと確認予定日を記録します。

仮例:売上の根拠を変えると、返済後の資金差額も変わる

次は作り方を示す仮例で、特定本部の実績・相場・予測ではありません。店舗型サービスを、客単価8,000円、月25日営業と仮定します。

基準と売上20%下振れの仮例(万円/月)
項目基準20%下振れ
客数と売上6人/日×0.8×25=1204.8人/日×0.8×25=96
材料等(売上の18%)21.617.28
ロイヤリティ(売上の8%)9.67.68
人件費3636
家賃1818
広告・水道光熱・システム等1717
借入元本返済1010
税引前・返済後の資金差額7.8−9.96

基準では月7.8万円残る計算でも、客数が20%下がると月9.96万円不足します。借入元本の返済は会計上の経費とは扱いが異なるため、ここでは利益ではなく資金差額として示しています。実際には税、設備更新、生活費、入出金のずれも加えます。

このように、月商の見栄えではなく「何人を、どの単価で、何日利用してもらうか」と、その未達時に何か月続けられるかを書きます。

基準・売上遅延・開業遅延の3案を並べる

計画は1本に決め打ちせず、少なくとも3案を月別に作ります。

案変える前提見る結果
基準根拠を確認した客数・単価・費用損益分岐点、返済後残額、最低現金残高
売上遅延客数の立ち上がりを遅らせ、入金も後ろへ置く追加運転資金、資金が最も減る月
開業遅延売上0のまま家賃・給与・追加工事が発生支払延期の可否、追加自己資金

日本政策金融公庫は月別収支計画書も公開しています。開業当初と軌道に乗った後の月平均だけでなく、開業から12か月を月別に置くと、黒字化前の不足や入金の遅れを見つけやすくなります。損益分岐点と手取りの見方も使い、会計上の利益と月末の現金を分けて確認します。

完成前に、書類同士の矛盾を確認する

  1. 計画書の開業日と、物件・工事・許認可・研修の工程が一致している
  2. 設備資金と運転資金の金額が、見積書と支払表の合計に一致している
  3. 売上の客数・単価・営業日数を、自分の言葉で説明できる
  4. ロイヤリティ、広告、システム、指定仕入れを契約条件どおり計算している
  5. 借入返済、税・社会保険、生活費、設備更新を資金繰りで確認している
  6. 本部のモデルと自分の計画の差を一覧にしている
  7. 売上・開業が遅れた場合の資金と対応を決めている

日本政策金融公庫のセルフチェックリストも使い、事業の概要、必要資金、調達方法、収支の根拠を見直します。融資相談の提出順はフランチャイズ開業の融資ガイドで確認できます。

注意 本記事は一般的な作成手順です。融資の承認、売上、利益を保証するものではありません。指定書式、審査項目、必要書類、契約条件は申込先・本部の最新情報を確認してください。

よくある質問

本部の事業計画書をそのまま使えますか?

本部資料は根拠の一つとして使えますが、そのまま自分の計画にはできません。対象店舗、地域、面積、営業時間、集計期間を確認し、自分の候補地、人員、客数、単価、支払条件へ置き換えて説明できる形にします。

フランチャイズの事業計画書には何を書きますか?

創業の動機と経験、顧客・商品、立地・商圏、人員、仕入れ・販売条件、本部支援、必要資金と調達方法、月別の売上・費用・資金繰りを書きます。申込先の指定書式がある場合は最新版を使います。

売上予測の根拠はどう書きますか?

店舗なら客数×客単価×営業日数、会員制なら会員数×月額単価、訪問型なら担当者数×対応件数×単価まで分解します。本部実績は対象店舗数、地域、期間、平均・中央値・範囲を確認して補足します。

事業計画は何年分作ればよいですか?

必要な期間は用途や申込先で異なります。まず開業から12か月を月別にし、開業当初の赤字、入金の遅れ、返済開始を確認します。中長期の計画を求められる場合は、指定期間と前提をそろえて作ります。

融資を使わなくても事業計画書は必要ですか?

提出義務がなくても、加盟判断に役立ちます。本部比較、契約、採用、物件、支払いの前提を一つにまとめ、売上が遅れたときに資金が続くかを確認できます。

参考にした公式情報

条件を確かめながら、候補を探す。

業種・自己資金で絞り込む →