テリトリー・商圏

フランチャイズのテリトリー制とは|商圏保護・近隣出店を契約前に確認

公式情報をもとに編集/2026年10月11日更新/出典の確認日 2026年10月11日

フランチャイズのテリトリー制は、加盟店が営業できる地域や、本部が同じ地域へ直営店・別の加盟店を出せるかを契約で定める仕組みです。候補物件の商圏分析と、契約上の商圏保護は同じではありません。地図上の範囲だけでなく、対象ブランド、宅配・EC、例外、近隣出店時の通知・協議まで書面で確認する手順をまとめます。

結論:商圏分析と契約上のテリトリー権を分けて確認する

物件資料に『商圏○万人』と書かれていても、その地域で同じチェーンの出店を防げるとは限りません。商圏分析は来店・注文が見込まれる範囲の試算、テリトリーは店舗の設置場所や営業地域について契約で定める範囲です。独占的な営業権があるかは、本部ごとの契約条項で確認します。

公正取引委員会は、加盟者募集時に、同一または類似業種の店舗を周辺へ出店できるかを定める条項の有無・内容と、出店計画の有無・内容を開示することが望ましいとしています。『近隣出店には配慮する』と説明する場合も、配慮の内容を具体的にして取り決めるよう示しています。

  1. 候補物件の商圏分析を受け取る
  2. 開示書面でテリトリー権と近隣出店計画を確認する
  3. 契約書・別紙の地図・書面回答を照合する
  4. 近隣出店後の収支も試算してから契約する

テリトリーの3つの定め方を見分ける

日本フランチャイズチェーン協会(JFA)は、テリトリー内に加盟者を1社だけ置くクローズド・テリトリー、複数置くオープン・テリトリー、販売地域ではなく店舗の設置場所を定めるロケーション制を案内しています。呼び方だけでは保護内容は決まらないため、契約文と地図を読みます。

テリトリー条項の読み分け
形確認すること判断で残す記録
クローズド型範囲内に何を出店しないのか、例外はあるか地図、対象ブランド、直営・加盟の扱い
オープン型何店舗まで、どの条件で追加出店できるか店舗数、距離、事前通知・協議の条件
ロケーション指定営業地域の独占も含むのか、設置場所だけか独占権の有無を明記した回答
テリトリーなし近隣へ直営店・加盟店を出す方針と計画候補地周辺の既存店・出店予定

『エリアを任せる』『商圏を守る』という口頭説明だけで判断せず、誰が・どこで・何をできないのかを契約書と別紙へ落とし込みます。

地図だけでなく8項目を同じ書面で質問する

半径や行政区の線があっても、別ブランド、宅配、EC、催事、法人営業が対象外なら、実際の顧客獲得では競合することがあります。候補本部には次の8項目を同じ文面で質問します。

本部へ確認するテリトリー8項目
項目質問
1. 境界住所、半径、郵便番号、行政区のどれで決めますか。境界の地図はありますか。
2. 独占の範囲営業の独占ですか、店舗設置場所の指定だけですか。
3. 対象店舗直営店、別の加盟店、同一・類似ブランドのどこまで対象ですか。
4. 販売経路宅配、EC、アプリ、移動販売、催事、法人営業は誰が担当しますか。
5. 例外駅、商業施設、病院、学校、企業内などに例外はありますか。
6. 追加出店近隣出店の判断基準、現在の計画、通知期限、協議手続は何ですか。
7. 変更人口・売上・契約更新で範囲を変更する条件と手続は何ですか。
8. 支援近隣出店で損益が悪化した場合の支援や見直しに取決めはありますか。

回答には、契約条項、別紙名、地図の作成日、回答者、回答日を付けてもらいます。空欄は『制限なし』ではなく『未確認』として残してください。

開示書面・契約書・出店計画を照合する

中小企業庁は、一定の小売・飲食フランチャイズに契約前の書面交付と説明が必要であることを案内しています。対象外の業種でも、公正取引委員会のガイドラインは重要事項の事前開示を望ましいとしています。JFAの開示自主基準にもテリトリー権の有無が含まれます。

書類見る内容不一致があるとき
募集資料・説明会資料商圏、モデル売上、出店方針根拠と作成日を確認する
開示書面テリトリー権、店舗数、近隣出店計画対象地域の説明を文書で求める
契約書・別紙境界、対象、例外、変更、通知・協議口頭説明を条項・別紙へ反映する
候補地の地図既存店、予定店、類似ブランド、宅配範囲重なる範囲を色分けする

JFAは、テリトリーが独占的な営業権を保証する場合と、単なる営業拠点の指定にとどまる場合があると説明しています。契約書にテリトリーという語があるだけで、独占的に保護されると解釈しないでください。

近隣出店を入れた収支を作り直す

テリトリーの確認は、条項を読んで終わりではありません。本部の売上モデルが近隣出店前の店舗実績なら、自分の計画では顧客数が減る場合も試算します。これは売上減少率を予言する作業ではなく、どこまで下がっても資金が続くかを見る作業です。

ケース置き換える条件確認する数字
基準候補地、人員、営業時間、家賃営業利益、借入返済後の残額
近隣店あり来店・注文数を下げ、広告費を増やす損益分岐点、月間赤字
開業遅延家賃・人件費の先行期間を延ばす追加運転資金、資金が尽きる月
支援あり支援の金額・期間・条件だけを反映支援終了後も続けられるか

利益率と損益分岐点の確認手順を使い、本部のモデルと自分の収支を別々に保存します。近隣出店時の支援は、具体的な取決めがある場合だけ計画へ含めます。

契約・入金を止めて確認する5つの状態

次の状態が残る間は、物件契約、加盟契約、返金されない入金を進めず、文書で回答を求めます。

  1. 商圏の説明はあるが、契約上のテリトリー権の有無が分からない
  2. 境界が『店舗周辺』など曖昧で、地図や距離が示されない
  3. 同一ブランドだけ説明され、類似ブランド・宅配・ECの扱いが不明
  4. 近隣出店の計画や判断基準を質問しても回答がない
  5. 『配慮する』という説明があるが、通知・協議・支援の内容が書面にない

公正取引委員会は、ドミナント出店をしないとの事前の取決めに反する出店が損益悪化を招く場合や、支援の事前取決めに反して一切支援しない場合は、優越的地位の濫用に該当し得る例として示しています。個別契約の評価は事情ごとに異なるため、疑問が残る条項はフランチャイズ契約に詳しい弁護士へ確認してください。

候補本部を同じ条件で比較する

テリトリー条件だけが良くても、総投資額、毎月の支払い、支援、解約条件が合わなければ候補にはなりません。地域と予算が近い候補を3社前後に絞り、同じ8項目を送って比較します。

判断の目安 境界・対象・例外・近隣出店手続が書面でそろい、近隣出店を含む下振れ計算でも資金が続くかを確認してから契約を判断します。

よくある質問

フランチャイズのテリトリー制とは何ですか?

加盟店が営業・出店できる地域や、その地域へ本部・他の加盟店が出店できる条件を契約で定める仕組みです。商圏分析で示された範囲が、自動的に独占営業地域になるわけではありません。

商圏とテリトリー権は同じですか?

同じではありません。商圏は顧客が見込まれる地域の分析、テリトリー権は契約で認められる営業地域の保護です。両方の地図と前提を照合してください。

テリトリー権があれば近くに同じ店は出ませんか?

保護範囲と例外は契約ごとに異なります。直営店、他の加盟店、類似ブランド、商業施設内店舗、宅配やECが対象かを契約書と別紙で確認します。

近隣出店について本部へ何を聞けばよいですか?

現在の計画、判断基準、対象店舗、通知期限、協議手続、例外、出店後の支援を聞き、契約条項・地図・回答日を付けた書面で受け取ります。

テリトリーがない契約は避けるべきですか?

テリトリーの有無だけでは決められません。出店方針、近隣店がある場合の収支、総投資額、支援、解約条件を合わせ、自分の資金が下振れに耐えられるかで判断します。

参考にした公式情報

条件を確かめながら、候補を探す。

業種・自己資金で絞り込む →